自身がアトピーもちで、子供への遺伝で悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで気になるのが無農薬野菜とアトピーの関係です。しっかり正しい知識を身につけて、快適な生活を取り戻しましょう!
目次
スーパーで買える一般的な野菜は慣行農法とよばれ、農薬をつかった栽培方法をとっています。
農薬とは病害虫を抑えるための有機リン系やネオニコチノイドといった殺虫剤・除草剤のことで、洗ったり加熱しても完全にはなくなりません。
ですので、食べ続けることで体内に蓄積していくわけですが、これらの化学物質がアレルゲンとなりアトピー悪化の要因となり得ます。
農薬は化学物質だからアレルゲンとなりアトピーには良くないわけですが、だからといって無農薬野菜(有機野菜)なら何でも食べて良いというわけではありません。
普段は健康にも良い野菜といえども、体質によってはアレルギー反応を起こしてしまうものがあります。代表的なものではお米や小麦が筆頭に挙げられ、農薬の有無に関わらずアレルゲンとなる場合があります。野菜にかかわらず、あらゆる食品がアレルゲンになり得ます。
例えば離乳食でお米を食べさせたら、かゆがったり、湿疹が出たりと、影響が出る場合があります。
疑わしい場合はしっかりと病院でのアレルギー検査を受けて、食べて良い食品、子供に食べさせても良い食べ物を認識するようにしましょう。
また、最新の研究では過剰にアレルゲンを回避することは、むしろ食物アレルギー・アナフィラキシーを増加させているという説が唱えられています。
上記にも触れた通り、これまで、アレルギー検査を受けてアレルギー反応を示唆する特異的IgE抗体の高さによって推測されるアレルギー物質の摂取を徹底的に避けるような考えが一般的でした。
イギリスの研究者により、皮膚バリアの機能を司っているフィラグリン遺伝子変異(掌のしわが多い、掌紋増強だと可能性が高い)が一部のアトピー性皮膚炎患者に認められたことをきっかけに、皮膚バリアの破壊がアトピーに関係していることがわかりました。
その後提唱された二重抗原曝露仮説では、皮膚バリアの機能が損なわれているときに何度も侵入したアレルゲンは炎症を促進し、アレルギー反応が出る状態にしてしまいますが、適切な量とタイミングでの飲食による摂取はアレルゲンへの耐性を得ることにつながる可能性を訴えています。
例えば、あるピーナッツアレルギーの研究では、食べないことを推奨した欧米より、特に制限することなく乳児期にピーナッツを与えていたフィリピンやイスラエルのほうが発症率が低かったとされています。
知識を深め対策を講じていくことは大切ですが決して自己判断せず、専門家である医師と相談しながら改善や対策を進めるようにしましょう。
以降、基本的な知識を身に着ける手立てとして、掘り下げて解説いたします。
すでに知っているよ、という方はさらりと復習的にお読みいただければと幸いです。
アトピーとは湿疹が起きる皮膚の炎症で痒みが続く病気です。
患者の8割が5歳までに発症し、赤ちゃんの頃に表れるケースが大半となっています。
原因として大きく分けて3つの原因があります。遺伝や体質、皮膚の乾燥・バリア機能の低下、外部の環境やメンタルヘルスなどによって免疫力の低下が挙げられます。
ダニやカビ、ハウスダスト、花粉、食べ物(赤ちゃん)、ペット、石鹸やシャンプーなどに対するアレルゲンに対するアレルギー反応の遺伝が考えられます。その他に喘息や花粉症の合併、アレルギーマーチが起こる場合があります。
アレルギーマーチとは、胎児期にアトピー素因という体質を引き継いでしまうことで、赤ちゃん(子供)の頃から年齢を重ねるごとに食物アレルギー→喘息→蕁麻疹→アレルギー性鼻炎→結膜炎→花粉症などのように原因抗菌と症状が変動していく現象です。連鎖していく様子が行進(マーチ)に例えられアレルギーマーチという名称になりました。
順番は人それぞれに異なります。さまざまなアレルギー症状が次々と連鎖します。一般的な例として以下のような進行が考えられます。
0歳、胎児期に胎盤からアレルギー要因が引き継がれる。
0歳~1歳、乳児期にアレルギー抗減物質の飲食によって食物アレルギー・アトピー性皮膚炎を発症する。
1歳~10歳、幼児期にチリやダニ、花粉といった吸入性アレルゲンによって気管支喘息・アレルギー性鼻炎を発症する。
10歳~16歳、思春期にスギ花粉などの花粉症やアレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎を発症する。
16歳~、成人期に花粉症、アレルギー性鼻炎、成人型気管支喘息、アトピー性皮膚炎といった症状が現れる。
予防にはアレルギー疾患の発症を抑えることがより確実な方法です。つまりアレルギーの原因となるアレルゲンを取り込まないように工夫していく必要があります。
そもそもアレルギーとは、一般的には無害である物質が、特定の人に対しては身体的な拒絶反応が起きてしまう現象です。ダニや花粉、一部の食べ物などが代表的なアレルギー反応の原因となっています。
アレルギー反応を起こす人とそうでない人の違いは、免疫機能の一環である、ある特定の物質に対して反応する特異的IgE抗体を持っていることが要因となっています。
通常、体内に何らかの方法で入ってきた異物に対して、免疫がその異物をやっつけ免疫機能が人を含む生物には備わっています。
つまり、空気中に漂うウイルスや細菌から体を守っている仕組みで、インフルエンザや風邪といった体を蝕む病気にならないようにするために生来持っているものです。
この免疫反応が本来、反応しなくてもよい物質に対して排除しようと免疫機能が働いてしまうことがアレルギー反応として現れます。
症状としては痒みや蕁麻疹、かぶれなどの炎症が起きたり、くしゃみや鼻水などツライ症状となって表面化します。
アレルギー反応の具体的なメカニズムとして、体内に入ってきた特定物質に対して免疫細胞がそれを排除するぞというスイッチが入った場合、抗体が作られます。例えば花粉などのⅠ型アレルギーの場合、免疫グロブリンとよばれる抗体のひとつである特異的IgE抗体が作られます。
この抗体はマスト細胞(肥満細胞)という細胞や好塩基球という白血球にくっついて、次に特定物質が体内に侵入するのを待ち構えるようになります。
この状態を感作された状態といい、この状態ではまだアレルギー反応として発現はしていません。
やがて特定物質が再び体内に取り込まれた際、待ち構えていた特異的IgE抗体と物質がくっつくことで、それを合図にマスト細胞・好塩基球が破裂します。
このとき、破裂したマスト細胞・好塩基球からはヒスタミンやロイコトリエン、トロンボキサンなどの化学伝達物質が放出されます。
この化学伝達物質が異物を追い出すために目や鼻などの粘膜(三叉神経終末)を刺激するため、目の痒み、くしゃみや鼻水などとなって拒絶反応を示します。これがアレルギー反応のプロセスです。
通常であれば体を守ってくれる重要な働きなのですが、本来害のない花粉など反応しなくても良いものにまで働いてしまうと、ありがた迷惑の何ものでもありませんね・・・。
アレルギー性鼻炎・結膜炎の場合、鼻や目の症状として、くしゃみや鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、充血、涙が出る、ものもらいが現れます。
気管支喘息・食物アレルギーの場合、呼吸器症状として、ゼイゼイしたりヒュヒューと呼吸が荒くなる、夜間や早朝の咳き込み、運動時の咳き込み、呼吸が苦しくなるなどします。
アトピー性皮膚炎・食物アレルギーの場合、皮膚の症状として、蕁麻疹や湿疹がでたり、かゆみ、赤みがでる、乾燥しカサカサになるといった状態になります。
食物アレルギーの場合、粘膜・胃腸の症状として、口の中や唇の晴れや痒み、違和感、イイガイガ感があったり、腹痛、嘔吐、下痢、血便といった症状が現れます。
アレルギー反応は4種類存在しています。
Ⅰ型アレルギー(即時型反応)はアナフィラキシー型ともいいます。アトピー性皮膚炎、気管支喘息、じんましん、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、花粉症、アナフィラキシーショックなど重い症状がでる場合が多いです。
Ⅱ型アレルギー(毒素型)は細胞障害とされていて、細胞膜上の抗原に対する抗体が作られることにより抗原と結合することで補体(血液中に存在するタンパク質からなる複雑な反応系)が活性化し細胞溶解反応を起こします。自己免疫性溶血性貧血、血小板減少症、グッドパスチャー症候群、慢性甲状腺炎、輸血反応、リウマチ熱、悪性貧血、Rh因子不適合、アジソン病の一部、全身性エリテマトーデス(SLE)の一部などがあげられます。
Ⅲ型アレルギー(血清病型)は免疫複合型で、抗原抗体複合した補体によってアナフィラトキシンが作られてヒスタミンの放出が起こります。これによって組織への白血球の侵潤、組織の破壊、壊死、出血などが起こります。全身性エリテマトーデスやリウマチ性心炎、急性糸球体腎炎などの病気があります。
Ⅳ型アレルギー(遅延型反応)はT細胞依存型(ツベルクリン型)とされていて、特異抗原が感作リンパ球を刺激することによってリンパ球からサイトカインや炎症性物質が放出されて、この作用によって円師匠が起こります。抗原に刺激されてから24時間~48時間後に反応が最も強くなるため、遅延型反応ともいいます。アトピー性皮膚炎の一部のほか、かぶれ、金属アレルギーやツベルクリン反応、臓器移植の拒絶反応、ミルクアレルギーによる胃腸炎などがあたります。
Ⅴ型アレルギー(刺激型)として抗レセプター型アレルギーがあり、受容体に対する自己抗体がつくられてしまい、その自己抗体がリガンド(特定の受容体に特異的に結合する物質)と同様に受容体を刺激してしまうことで、細胞から物質が分泌され続けて起こります。代表的な病気としてバセドウ病が知られています。
アナフィラキシーとはアレルギー反応の一種で、抗原が体内に取り込まれて数分で発症するアレルギーで激しい症状がでるものをいいます。
症状としては不快感、違和感などの前駆症状から激しい咳込み、喘息、鼻水、血液低下、胸の圧迫、痛み、心臓の鼓動、脈拍が早いまたは不整脈、冷や汗、顔面蒼白、唇が青くなるチアノーゼ、全身が真っ赤、湿疹(じんましん)、ぜーぜー、ひゅーひゅーと呼吸困難、腹痛、下痢などの症状をきたして、重篤な場合では意識を失ったり、死亡するケースもあります。
このような急激で命にも関わる症状をアナフィラキシーショックといいます。特に蜂に刺されたり、アレルギーのある食べ物の反応で起きる場合が多くなっています。
治療方法としては輸液、抗ヒスタミン剤の投与、ステロイド剤の投与、エピペン注射、カテコールアミンによる循環補助、喉が腫れて気道閉塞につながる気管浮腫に対しては気管挿管などの素早い処置が必要になります。
当然ですが治療にあたっては医師の免許が必要ですので、一般の方が緊急で対応する場合は応急処置としてエピペンがあればすぐに注射することと気道の確保を優先します。
通常はまっすぐに寝かせて気道を少しでも広げるようにします。しかし嘔吐物で窒息する可能性がある場合は座らせるほうが良いこともあります。
とにかく呼吸をしやすいよう態勢にしてあげるなど症状を緩和するようにして、すぐに救急車を呼びましょう。
アレルゲンには大きく分けて食物性、吸引性、接触性の3つの種類の性質があり、それぞれの対策として、食物性であればアレルゲンとなる食べ物を食べさせない、吸引性または接触性であればダニやカビ、ハウスダストを減らすようにします。
卵白、卵黄、オボムコイド、マヨネーズ、マスタード、ビール酵母、ゼラチン、コーヒー、ヒトインスリン、ミルク、α-ラクトアルブミン、β-ラクトアルブミン、カゼイン、チーズ、モールドチーズ、ライ麦、オート麦、大麦、小麦、麦芽、グルテン、ω-5グリアジン、大豆、大豆油、コンニャク、ソバ、落花生、米、ゴマ、キビ、アワ、ヒエ、とうもろこし、エンドウ、インゲン、セロリ、パセリ、トマト、ナス、タマネギ、ニンニク、ニンジン、ジャガイモ、アボガド、タケノコ、サツマイモ、ホウレンソウ、カボチャ、ヤマイモ、ハシバミ、ブラジルナッツ、アーモンド、ココナッツ、ピーナッツ、クルミ、カシューナッツ、カカオ、オレンジ、洋ナシ、桃、グレープフルーツ、スイカ、イチゴ、メロン、マンゴー、キウイ、バナナ、リンゴ、鶏肉、牛肉、豚肉、羊肉、サケ、イワシ、サバ、マグロ、タラ、アジ、イワシ、カレイ、カツオ、イカ、タコ、イクラ、タラコ、エビ、カニ、ロブスター、アサリ、カキ、ホタテ、ムラサキガイなど。
ハウスダスト、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、アシブトコナダニ、サヤアシニクダニ、ケナガコナダニ、花粉、スギ、ヒノキ、ハルガヤ、ギョウギシバ、ナガハグサ、ハンノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、アシ、シラカンバ、ブタクサ、オオブタクサ、ブタクサモドキ、ヨモギ、ニガヨモギ、フランスギク、タンポポ、アキノキリンソウ、カエデ、ブナ、ビャクシン、コナラ、ニレ、オリーブ、クルミ、ヤナギ、アカシア、ヘラオオバコ、オオバコ種子、シロザ、マツ、ヒメスイバ、イラクサ、ヒロハウシノケグサ、ホソムギ、コヌカグサ、セイバンモロコシ、オオスズメノテッポウ、コムギ、スズメノヒエ、クワ、カナムグラ、シイタケ胞子、ネコ皮屑、イヌ皮屑、ハトの糞、セキセイインコの糞、クラドスポリウム(クロカビ)、アルテルナリア(ススカビ)、ペニシリウム(アオカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジタ、マラセチア、ピティロスポリウム、トリコフィトン、エントロトキシンA(SEA)、エントロトキシンB(SEB)、ムコール、ヘルミントスポリウム、ピティロスポリウム、黄色ブドウ球菌Bなど。
柔軟剤、イソシアネートTD1、イソシアネートMD1、イソシアネートHD1、エチレンオキサイド、無水フタル酸、ホルマリン、ペニシリン、セファロスポリン、サルファ剤、ホルモン剤、ピリン剤、化粧品、ラテックス、ゴム製品、うるし、ソバガラ、モルモット上皮、ヤギ上皮、羊上皮、家兎上皮、豚上皮、ハムスター上皮、ガチョウ羽毛、セキセイインコ羽毛、ニワトリ羽毛、アヒル羽毛、ラット、マウス、衣服や寝具の素材(綿・絹・羽毛・羊毛)、金属、ニッケル、コバルト、クロム、薬物、化学物質、染料、塗料など。
ガ、ユスリカ、ヤブカ、ゴキブリ、ミツバチ、スズメバチ、アシナガバチなど。
カイチュウ、ホウチュウ、アニサキスなど。
主にチリダニ科に属するコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニのことで、それらのダニの抜け殻、死骸やフンなど、人間にとってアレルギーとなる物質が皮膚や呼吸などから体内に入ることで引き起こされます。
原因となる主な花粉はスギ、ヒノキ、イネ、ブタクサとなっています。
布団干しをするとき、花粉の飛散時期に外に干してしまうと花粉が大量に付着してしまいます。事前にカバーを掛けておいて干すか、布団の両面に付着した花粉しっかりと払い落としたり、掃除機で吸い取るなど対策を心がけましょう。
ちなみに、スギ花粉の飛散時期は2月から4月頃、ヒノキ花粉の飛散時期は3月から5月頃、ブタクサ花粉の飛散時期は8月から10月頃、ヨモギ花粉の飛散時期は8月から9月頃などとなっています。
ペットとして多くの過程で飼われている犬や猫ですが、フケや体毛、唾液、尿にアレルギー物質があり、空気中に漂っているものを吸い込んでアレルギー反応が起きます。
犬の体内で作られているCan f1という物質が犬アレルギーの原因で、猫の脂腺から分泌される糖タンパクFel d 1や唾液に含まれる糖タンパクFel d 4などが猫アレルギーの原因などとなっていて、犬と猫でもアレルギー物質は異なります。
そのため、猫アレルギーでも犬は大丈夫、といったケースがあります。
また、犬種や猫の種類、個体差によっても異なるため、アレルギー持ちの方がどうしてもペットを飼いたいという場合はアレルギー反応が出ない品種や個体を探すといったこともあります。
マンションのベランダや庇でハトの糞の被害が増えています。
ふんや羽毛に含まれるハトジラミ(ナンキンムシ)、トリサシダニによってかゆみ、湿疹、アレルギーにつながります。直接触らなくても乾燥した粉末・胞子が空気中に浮遊し、知らず知らずのうちに吸い込んでしまうのです。
アレルギー以外にも鳩の糞が媒介となる病気としてクリプトコックス症、オウム病、ニューカッスル病、ヒストプラズマ症、トキソプラズマ症などがあります。
アレルギー体質がある場合、鳩の糞を見つけたらなるべく放っておかず、すぐに除去しましょう。
高温多湿な日本では一年中、カビが繁殖しやすい環境になっています。
とくに、じめじめとした梅雨から夏にかけてカビが繁殖で活発になり、症状としても現れやすくなります。
カビは空中真菌と呼ばれ、当然、異物のため空気中に浮遊している胞子が体内に侵入してしまうと、カビを退治するために免疫系によって炎症が起きます。気管支喘息やアレルギー性鼻炎といった気道アレルギーにつながります。
また、エアコンを長期間使わずにいるとカビが繁殖することがあります。使用時にカビ臭さを感じたら間違いないでしょう。
エアコン内部では、連坊運転時に結露ができ、水がたまるようになっています。エアコンの内部のような狭い空間ではカビが繁殖しやすくなります。当然、そのような状態でエアコンを使うとカビの胞子が部屋中に飛散するという結果になります。
エアコン使用によるカビの拡散によって夏型過敏性肺炎とよばれる病気で肺の内部でカビが繁殖してしまし、夏場なのに咳が出るようになります。
アレルギー体質ではとくになりやすく、肺の内部が病床になっていると治しにくいため、エアコンの洗浄などで事前に対策をとっておく必要があります。
目に見えないハウスダスト(ダニやチリ、埃、衣類の繊維など)、花粉、カビが主要因となっています。対策としては特に触れる時間が長く、呼吸の物理的な距離が近くなる枕や布団などの寝具を丸洗いし、清潔にすること、こまめな掃除を心がけるようにします。また、空気清浄機も効果的です。
静電気HEPAフィルター搭載か、同等のフィルター搭載のものが良いです。
やはりメリットとしては、ハウスダスト、カビ・ダニ・花粉などのアレルギー要因物質を帯電したフィルターで吸着してしまことです。
さらに加湿器機能があれば、空中に漂うホコリやペットのフケなどの物質を湿らせて落下させるのでさらに効果的です。
ただし、湿度が高すぎるとダニやカビが繁殖しやすくなるというデメリットがあります。
水の溜まりやすいフィルターの掃除にも気を遣うことと、湿度は50度くらいに保つようにしましょう。
それでも気になる場合は、空気清浄機のみでも良いでしょう。
皮膚の表面のセラミド合成の低下によってカサカサ肌、つまり乾燥肌(ドライスキン)になりやすくなり、痒みを感じやすくなります。痒くなった皮膚を掻いてしまうと余計に痒さを感じるため、状態としては悪化します。洗いすぎることで皮膚の乾燥が悪化します。
皮膚バリアを構成する要素としては先ほども挙げたセラミドのほか、コレステロール、脂肪酸からなっている脂質です。
その中で皮膚に特別に存在しているセラミド分子種アシルセラミドというものが皮膚バリア形成に重要な働きをしています。アシルセラミドは長鎖塩基、オメガ水酸化長鎖脂肪酸、リノール酸の三つの構成成分からなっていて、表皮角化細胞、つまり皮膚の一番外側の細胞を作る特殊な酵素の生成に関わっていることがわかっています。
簡単に説明するとこのセラミドが接着剤のように角質細胞をくっつき、繋ぎ止めています。しかしセラミドは赤ちゃんの頃をピークに、加齢とともに減少、30代以降になると一気に失われて、40代では20歳の約半分になってしまいます。まさに肌の潤い、水をはじく肌は若さの象徴なんですね。
セラミドを多く含む野菜として色素成分であるファイトケミカルを摂取すると良いです。
ファイトケミカルとは野菜を含む植物が太陽の紫外線や害虫から身を守るために生成している成分で、これを摂取することで人にも健康を促進する効果があることがわかっています。
黒・・・コンニャク、しらたき、黒豆、わかめ、ゴボウ、蕎麦、コーヒー、紅茶など
白・・・たまねぎ、ごま、じゃがいも、大豆、白菜、カリフラワーなど
黄色・緑・赤・オレンジ・紫・・・ニンジン、かぼちゃ、トマト、ブドウなど
ファイトケミカルについて詳しくはこちら
ファイトケミカル成分を多く含む野菜食品の効果 がん予防方法
セラミドの構成成分でもあるリノール酸ですが、摂取しすぎるとアラキドン酸に変わるため、炎症やアレルギーの原因になることもあります。リノール酸が特に含まれているものとしては以下のとおり。
揚げ物や炒め物、マーガリン、ドレッシング、菓子パン、ラーメン、インスタント食品、ナッツ類など。
炎症をぶり返しさせないため、スキンケアは欠かさず行いましょう。
皮膚を清潔に保つため、刺激のない石鹸で軽く洗うようにします。保湿剤で違和感のないものを朝と夜の入浴後に塗ります。
外部要因での症状の悪化も防ぐ必要があり、主にアレルギーの原因となるアレルゲンでは年齢によって異なり、赤ちゃんでは食物アレルゲン、それ以降はダニやハウスダストなどの環境アレルゲンに注意するようにします。
アレルギー以外にも、汗や空気の乾燥、皮膚に触れるものやストレスによっても引き起こされる場合があります。特に、思春期以降や大人のアトピー性皮膚炎では学校や社会のストレスが多く、影響がみられています。そのほか、皮膚を掻いてしまうクセが残ってしまい、慢性化してしまうケースも少なくありません。
排気ガスや水、たばこの環境汚染や欧米型の食事、コンビニ弁当やインスタント食品といった食生活の乱れ、疲労や人間関係など精神的なストレス、睡眠や運動不足によって免疫力が低下していることが考えられます。
最新の研究でイーパス1(EPAS1)というたんぱく質が痒みを発生させる原因であることがわかっています。
このイーパス1が増えるとドック8(DOCK8)というたんぱく質が増え、さらにインターロキシン31(IL-31)という痒みを直接感じさせるたんぱく質が増えるという流れになっています。
根源となるたんぱく質が特定されたことで、このイーパス1を減らす薬剤によって痒みを減らす治療薬となるだろうとされています。
痒みを伴うために用いられるのが抗ヒスタミン系内薬です。
眠気やだるさが副作用として出てしまうので、まず非鎮静性や軽度鎮静性の第二世代抗ヒスタミン薬からはじめ、効果や副作用を考慮して他の薬の追加を検討しましょう。
ジフェニルピラリン塩酸塩(ハイスタミン)
ジフェンヒドラミン塩酸塩(ベナ、レスタミン)(30mg)鎮静性
シプロヘプタジン塩酸塩水和物(ペリアクチン)
塩酸トリプロリジン(ベネン)
ヒドロキシジン塩酸塩(アタラックス)
プロメタジン塩酸塩(ヒベルナ、ピレチア)
ホモクロルシクリジン塩酸塩(ホモクロミン)
アリメマジン酒石酸塩(アリメジン)
タンニン酸ジフェンヒドラミン(レスタミンA)
クロルフェニラミンマレイン酸塩(アレルギン、クロール・トリメトン、
マレイン酸クロルフェニラミン、ネオレスタミン)
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン、ネオマレルミンTR)(2mg/5mg/静脈注射)鎮静性
ジフェニルピラリンテオクル酸塩(プロコン)
ヒドロキシジンパモ酸塩(アタラックスP)
クレマスチンフマル酸塩(タベジール)
エバスチン(エバステル)(10mg)非鎮静性
アゼラスチン塩酸塩(アゼプチン)(1mg)軽度鎮静性
エピナスチン塩酸塩(アレジオン)(20mg)非鎮静性
オロパタジン塩酸塩(アレロック)(5mg)非鎮静性
セチリジン塩酸塩(ジルテック)(10mg/(20mg))非鎮静性/軽度鎮静性
レボセチリジン塩酸塩(ザイザル)(5mg)非鎮静性
フェキソフェナジン塩酸塩(アレグラ)(120mg)非鎮静性
オキサトミド(セルテクト)(30mg)鎮静性
フマル酸エメダスチン(ダレン、レミカット)
ケトチフェンフマル酸塩(ザジテン)(1mg)鎮静性
ベポタスチンベシル酸塩(タリオン)(10mg)非鎮静性
メキタジン(ニポラジン、ゼスラン)(3mg)軽度鎮静性
ロラタジン(クラリチン)(10mg)非鎮静性
クロモグリク酸ナトリウム(インタール)
トラニラスト(リザベン)
トシル酸スプラタスト(アイピーディ)
アトピー性の皮膚炎は悪化したり一時的に治まったりを繰り返します。
痒みを伴う湿疹が肌に起きるため、外見的にも影響を及ぼします。多くの場合、遺伝的な要因があります。
自分または家族が気管支喘息やアレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎などにかかったことがある。
診断の基準として、まず痒みがあること、次に皮膚に湿疹が出ていることが挙げられます。赤みがあり、慢性的に続くようであればさらに可能性が高まります。
できる部位としてはおでこや目の周囲、口周り、唇、耳の周り、うなじ、手足の関節や背中などとなっていて、左右対称に広がっています。
また、年齢によってできやすい場所が違います。赤ちゃん(幼児期)では頭、顔が起きることが多く、背中や手足に広がります。少し大きくなるとうなじの部分やひじの表側やひざの裏などに出てきます。思春期や大人(成人)では顔やうなじ、胸や背中など上半身を中心に出てきます。
傾向としては、半年以上も慢性的に続く、あるいはぶり返すようであれば可能性が高くなります。赤ちゃんでは2ヶ月以上です。
アトピー性皮膚炎とよく似た病気では次のようなものがあります。
にきび、汗疹、手湿疹、疥癬、乾癬、魚鱗癬、皮膚リンパ腫、膠原病(SLE、皮膚筋炎)、ネザートン症候群
アトピー性皮膚炎では痒みを伴う湿疹だけでなく、白内障や網膜はく離など厄介な合併症を引き起こす可能性があります。そのほか、カポジー水痘様発疹症などがあります。
ひとくちにアトピー性皮膚炎といっても、病気の進行度合いがあり、いま自分の状態がどのような段階なのか、知ることができます。多少の赤みがある、カサカサと乾燥している程度の状態が初期段階で、全身に広がっていても症状は軽度と判断されます。より治療が必要とする重度になるほど湿疹の程度がひどくなり、荒れた状態になります。ただし、軽い症状としてもネットの情報だけで判断せず、必ず医師の診断を受けるようにしましょう。
湿疹が大きくなり、硬くなっている、またはジクジク汁が出ている、浮腫ができている、皮が剥がれている、
そもそもアトピー性皮膚炎は遺伝的要因が強いことと、様々な要因によって症状が出てくるため、この病気そのものを完全に治す方法は見つかっていません。病院でも対処療法によって、症状を緩和したり、起こさないような生活スタイルをしたりするように薦めています。
アトピー性皮膚炎にはステロイド薬剤がもっとも確実で医学的にも認められています。炎症を抑えることで症状を緩和します。
炎症を鎮めるには効果が薄いため、逆に刺激によってかぶれが起きてしまうなどデメリットがあります。症状が軽微なとき、ステロイド薬剤を使用したくない場合に使います。
ワセリン、尿素軟膏、ヘパリン類似物質含有軟膏、亜鉛華軟膏、親水軟膏など。
タクロリムス(プロトピック)軟膏をご存知でしょうか。
主に顔周りに使用されますが、他の部分でも使用されます。ステロイド薬剤のストロングクラスと同等程度の効果が認められていて、塗り始めの数日間は刺激感があり、症状が緩和していくにつれ、刺激感も収まっていきます。そのため、取り扱いには医師の判断が必要になります。
なお、重症度の高い状態では効き目が薄く、中程度の症状に対して効果があります。
注意点として、刺激があるため、びらんなど皮膚がジュクジュクしてしまっている場合やおでき、にきび、皮膚以外の粘膜や外陰部には使用しないようにします。また、妊婦の方や妊娠の可能性がある場合、使用しないでください。授乳も避けましょう。
日焼けも望ましくないため、日光には当たらないようにしたり、日焼けサロンも控えましょう。
カルシニューリン阻害内服薬のシクロスポリン(ネオーラル)について、一般的な治療法で芳しくなく、最も重症な状態のみでの一時的な使用が励行されています。具体的には使用して3ヶ月以内には使用を止めるようにされています。取り扱いには専門医師の判断が必要です。
ストロンゲスト | クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート) | 0.05% |
ストロンゲスト | ジフロラゾン酢酸エステル(ジフラール、ダイアコート) | 0.05% |
ベリーストロング | モメタゾンフランカルボン酸エステル(フルメタ) | 0.1% |
ベリーストロング | 酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(アンテベート) | 0.05% |
ベリーストロング | フルオシノニド(トプシム) | 0.05% |
ベリーストロング | ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP) | 0.064% |
ベリーストロング | ジフルプレドナート(マイザー) | 0.05% |
ベリーストロング | アムシノニド(ビスダーム) | 0.1% |
ベリーストロング | 吉草酸ジフルコルトロン(テクスメテン、ネリゾナ) | 0.1% |
ベリーストロング | 酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(パンデル) | 0.1% |
ストロング | デプロドンプロピオン酸エステル(エクラー) | 0.3% |
ストロング | プロピオン酸デキサメタゾン(メサデルム) | 0.1% |
ストロング | デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ、ザルックス) | 0.12% |
ストロング | ハルシノニド(アドコルチン) | 0.1% |
ストロング | ベタメタゾン吉草酸エステル(ベトネベート、リンデロンV) | 0.12% |
ストロング | ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(プロパデルム) | 0.025% |
ストロング | フルオシノロンアセドニド(フルコート) | 0.025% |
ミディアム | 吉草酸酢酸プレドニゾロン(リドメックス) | 0.3% |
ミディアム | トリアムシノロンアセトニド(レダコート、ケナコルトA) | 0.1% |
ミディアム | アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタ) | 0.1% |
ミディアム | クロベタゾン酪酸エステル(キンダベート) | 0.05% |
ミディアム | ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド) | 0.1% |
ミディアム | デキサメタゾン(グリメサゾン、オイラゾン) | 0.1% |
ウイーク | プレドニゾロン(プレドニゾロン) | 0.5% |
ステロイド薬剤は5段階の効果の強さに分けられています。
副作用は強い薬剤を使うほど起こりやすくなってしまうので、症状にあわせた強さの薬剤を選ぶようにします。
具体的な副作用としては、ステロイドざ瘡(ニキビ)、ステロイド潮紅、皮膚が硬くなる、体毛が濃くなる、細菌や真菌、ウィルス性皮膚感染症、かぶれなどが起きます。
朝と夜のお風呂の後に1日2回薄く塗るようにします。
手のひら2個分の面積に対して、チューブから0.5グラム程度、人差し指の頭から第一関節部分くらいまで押し出した量を使います。
例えばベリーストロングクラスの場合、成人であれば、最初は1日に約5~10グラムほどの量から始めて、子供の場合は1ランク低いもの(この場合はストロングクラス)にして、症状が落ち着いてきたら使う量も減らしていくようにします。
症状が軽くなったからといって、すぐに使うのをやめてしまうと再発する可能性がありますので、少しずつランクを下げていき、塗る頻度も減らすようにしましょう。
ただし、3ヶ月以上経っても改善しない場合は使用方法などを見直すようにします。
毛穴の多い顔に使用する場合、ミディアムクラスより低いクラスを選びます。
使う頻度についても1日2回の使用は一週間で抑えましょう。カルシニューリン阻害薬剤のタクロリムス軟膏であれば、ステロイド薬剤のような見た目にも影響する副作用がないため、特に顔への使用が効果的です。
過剰なステロイドの副作用を煽るメディアによって、ステロイド内服薬のような全身への副作用とごっちゃにしてしまうケースがあります。
そのせいで途中で使うのをやめてしまったり、量や頻度を半端にしてしまったりすることで症状が悪化するばかりかいつまでも治まらず、慢性化が続いてしまいます。
正しく使えば短期間での改善が見込まれますので情報に惑わされないように医師と相談しながら適切に使用するようにしましょう。
1日に1~2回使用しますが、2歳から5歳(体重20キロ未満)では1回の使用量で1グラムが上限、1日に2グラムまでとなっています。6歳から12歳(体重20~50キロ程度)では1回の使用で2~4グラム、1日に4~8グラムが上限です。13歳以上(体重50キロ以上)では1回の使用で5グラム、1日で10グラムまでが上限となっています。