動脈硬化のリスクがある、健康診断で中性脂肪を表すTG値(トリグリセリド)が基準値より高くてひっかかってしまったら、まずは肉類、油もの、お酒中心の食生活を見直すことが一番の近道です。
中性脂肪を下げる(高めない)ためには、食物繊維が多く、脂質・糖質が少ない食品を中心に献立を考える必要がありますね。
結論からいってしまうと中性脂肪を下げるのに最も効果的なのは魚に含まれるEPA・DHAです。
この記事の後半でも詳しく解説していますが、魚だけ食べ続けるというわけにもいかないでしょうから、栄養を考えてお野菜もしっかり取り入れるようにしましょう。
目次
大豆といえばイソフラボンですが、活性酸素を除去し、抗酸化作用、つまりアンチエイジングの作用があることでもよく知られていてます。
実はそれだけでなく、脂質代謝改善にも効果が期待され、コレステロールを含む物質を体外に排出もする胆汁酸分泌増加、腸のコレステロール吸収抑制などといった働きが考えられています。
大豆たんぱく質には血中コレステロール減少、中性脂肪減少、脂肪蓄積抑制、糖尿病抑制の作用があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
大豆たんぱく質によって、便に含まれるコレステロールと胆汁酸の排出量が多くなるため、不足した胆汁酸を合成するために体内のコレステロールも減少します。胆汁酸が減ると吸収に作用されるミセルという物質が形成できなくなり、吸収量が低下するため血中コレステロール減少につながります。
大豆たんぱく質は肝臓での脂肪酸合成を抑制させ、さらに脂肪酸β酸化を促すことで知られています。
また、大豆たんぱく質を摂取することで血中糖濃度を下げるインスリンとは逆の作用をもつグルカゴンが増加し、結果として肝臓での脂質合成を抑制されるとみられ、そしてミトコンドリアが脂肪酸を取り込むのを促進させることで脂肪酸β酸化が進み、つまり脂肪酸が消費されやすくなります。
大豆たんぱく質は乳たんぱく質のカゼイン(牛乳やチーズに含まれるリン蛋白の一種)と比べ、インスリン濃度を低下させるとされ、インスリン濃度の低下による作用で肝臓での脂肪酸合成も抑えられるようになっています。そしてインスリン分泌低下や抵抗性のリスクが抑えられⅡ型糖尿病の発症を抑制することができます。
大豆に含まれる脂質では体内で合成できない必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸と呼ばれるn-6系多価不飽和脂肪酸リノール酸やオメガ3脂肪酸とも呼ばれるn-3系多価不飽和脂肪酸α-リノレン酸が多く含まれ、それらは不飽和脂肪酸であり、血液中のコレステロールを減少させる働きがあります。ただし、リノール酸は不安定で酸化しやすく、摂りすぎると血管内部に溜まってしまうため注意が必要です。
オメガ6脂肪酸のリノール酸などはマヨネーズやサラダ油などに含まれているため、現代の食生活では避けるほうが難しいほど摂取する機会が多くなっています。
そして、リノール酸から代謝されるアラキドン酸が炎症を引き起こすエイコサノイドをつくり、がんの一因になるという説が出回りましたが、あくまでもラットの研究による現象で、炎症を起こすエイコサノイドを発生させるには体重当たり12%以上、人間の体重でいえば60キロだと7.2㎏というもので、達成するほうが難しい量となっています。さらに抗炎症物質も同時に作られるため作用が打ち消されるなど、普段口にする分には懸念するほどの影響はないと見て良さそうです。
オメガ3脂肪酸はオメガ6脂肪酸によって引き起こされる炎症作用を鎮める作用があるため、理想としてはオメガ3脂肪酸の摂取量を増やし(青魚を食べる)、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスを4:1の比率にすることが望ましいとされています。
バランス的にはマーガリンなどに含まれるオメガ6脂肪酸の比率が高くなりがちで、魚を日常的に食べる習慣を身に着けることが対策となるでしょう。
いずれにせよ、過度に気にすることもないようです。
苦みや渋み、つまりえぐみの元のなっている成分で、強い抗酸化作用があります。過酸化脂質の生成を抑制を防ぎ、小腸の内壁にある絨毛に作用し脂質の吸収を抑制し、また血中脂質を下げる効果があります。サポニンはサポゲニンと糖から構成される配糖体の総称です。大豆を煮ると泡立つ(アクがでる)のはこの成分の水溶液から起きていて、ギリシャ語では石鹸、または泡立つものという意味があります。サポニンの種類には赤血球を溶かしてしまう毒性のものがありますが、大豆や人参に含まれているサポニンには毒性がありません。生の大豆より、豆腐や豆乳に多く含まれています。
大豆に豊富に含まれている大豆レシチン(フォスファチジルコリン)と呼ばれるリン脂質が脂肪酸合成を抑制し、肝臓で脂質を作らせにくくするといわれています。
大豆に含まれる植物ステロールのシトステロールやカンペステロールなどが、腸でのコレステロールの吸収を阻害し、血中コレステロールのLDL(中性脂肪などが内包された物質)を減らしてくれるとされています。
大豆から作られるオカラの食物繊維は水溶性で、食物繊維が腸での脂質吸収を阻害することは一般的ですが、大豆の食物繊維は腸内細菌に分解されやすく、肝臓でのコレステロールの合成を阻害する短鎖脂肪酸がたくさん作られるようになっています。
ブロッコリー、とくに新芽(スプラウト)に多く含まれていて、摂取された化学物質の除去や抗酸化力を高める効能があり、がん予防にも効果があります。
また、マウスを使った試験では、脂肪細胞の褐色化を促しエネルギー消費を高め肥満を防ぐ作用や、肥満型腸内細菌叢を改善し代謝性エンドトキシン血症を抑え、肝臓や脂肪組織の炎症、インスリン抵抗性を改善させ脂肪肝(高脂肪食による肝臓中の中性脂肪量の増加)、血糖値異常といった生活習慣病の予防につながるとされています。
天然アミノ酸であるSMCS(S-メチルシステインスルホキシド)はブロッコリー、カリフラワーを含め、キャベツなどアブラナ科や玉ねぎなどのユリ科、ネギ科の野菜に豊富に含まれています。コレステロールは肝臓で酵素の作用により胆汁酸に合成され体外へ排出されれます。SMCSはこの酵素コレステロール7α-ヒドロキシラーゼを活性化、体内の脂質改善に役立ちます。
椎茸に特有されるエリタデニンは肝臓内で脂質とたんぱく質の合成を抑制し、中性脂肪とコレステロールを体外へ排出する作用があります。さらに血圧を下げることで血中コントロールに役立ちます。4,000種類あるキノコの中で椎茸に最も豊富に含まれています。
B3とも呼ばれ、ビタミンB群の一種で、中性脂肪が肝臓で吸収されるのを抑え、血液中の中性脂肪を減らすことができます。天日干しした干しシイタケに多く含まれます。
シイタケから抽出される多糖体β-グルカンの一種で抗がん剤にも使われ、抗体であるリンパ球やナチュラルキラー細胞(NK細胞)などを活性化させ、また抗腫瘍効果(がん細胞増殖の抑制)といった免疫力強化につながる成分で、不溶性食物繊維のためエネルギーの過剰摂取予防や便秘解消でコレステロールを体外へ排出することに役立ちます。
エンドウ豆、タケノコ、エリンギ、キャベツ、白菜、もやし、ごぼう、大根、さといもなどがあります。
鶏肉のササミ、魚、麦、玄米、発芽玄米、胚芽米、豆腐、おから、納豆、ひじき、昆布、ワカメ、アオサ、コンニャク、リンゴ、寒天ゼリーなどがあります。
中性脂肪を減らす方法として運動と食事の二つの方法があります。
忙しい毎日で運動不足になりがちな現代ですが、軽い運動、エクササイズなどを取り入れた生活習慣の改善と、食事の量、カロリーや成分に気を使って食習慣の改善が有効的です。
中性脂肪を減らすためには脂肪の燃焼効率を高める有酸素運動が欠かせません。
有酸素運動では心拍数が一定上昇(最大心拍数の5,6割程度)する運動を20分以上続けると効果的です。なぜなら運動開始後の20分間は脂肪ではなく、糖分をエネルギーとして使う割合が高くなっているためです。
さらに、三日坊主で終わらせず、日々の習慣として持続させることが最も重要です。
例えば帰宅の際に、一駅手前で降りて歩くようにすれば、無理なくウォーキング運動を習慣として取り入れることができますね。
ダイエットもそうですが、中性脂肪を減らすには筋トレなどのハードな運動は向かないという認識が多いと思います。
なぜなら筋トレでは糖分をエネルギー源とするため、脂肪燃焼するわけではありません。
しかし実は、激しい運動によって糖分である筋肉中のグリコーゲンを枯渇させ、体温が上がり、血行が良くなっている状態であれば有酸素運動の効果がすぐに得られます。
中性脂肪を減らすことに特化するなら、帰宅前にジムでハードな筋肉トレーニングをこなした後、負担をかけすぎない軽いウォーキングを組み合わせるとさらに効果的ということです。
筋肉が増えるという意味では体重自体は増加するかもしれませんが、脂肪は燃焼できるのでメタボを解消する、痩せる(脂肪を減らす)ことにもつながります。
食事によって余分に摂り過ぎたエネルギーは中性脂肪として蓄えられてしまいます。
食品に含まれるエネルギー量(熱量)はカロリー量として表されます。ちなみに、1カロリーは水1グラムの温度を1度あげるのに必要な熱量になります。
食べ過ぎない=摂取カロリーを抑える食習慣を身に着けることで中性脂肪を溜めない体になっていきます。
例えば1時間のウォーキングを行った場合、約250キロカロリーほど消費されます。
これを食べ物に当てはめるとドーナツや板チョコのたった1個分に相当します。せっかくウォーキングする習慣を取り入れても、間食を抑えるようにしないと無駄になってしまうことがわかりますね。
ウォーキングによる消費カロリーの計算は以下のサイトで簡単にできます。
http://keisan.casio.jp/exec/system/1161228742
計算方法は”消費カロリー(Kcal) = メッツ * 体重Kg * 運動時間 * 1.05”となっていて、メッツ値とは運動によるエネルギー消費量が安静時の何倍にあたるかを示す値です。
電卓をわざわざ叩くより、上記のようなサイトでかんたんに算出できるので利用してみてください。
アラサー、アラフォー、アラフィフ・・・中年以降になると基礎代謝が低下してくるため、食欲に惑わされず適切な食事量に減らしていくことが肝要です。
基礎代謝とは何もしてない状態で生命を維持するために消費されるエネルギーのことで、年齢を重ねるほどエネルギーを消費しにくい体になっていきます。
一般的には、成人した大人の男性が1日1,500キロカロリー、女性で1,200カロリーほどといわれていますが、やはり年齢や体重により異なります。
実際には1日中じっとしているわけではなく、何らかの活動をしているはずなので、活動量に応じた消費カロリーを追加する必要があります。
座り仕事(デスクワーク)をしているなら大体+300キロカロリー程度で、立ち仕事かつ簡単な肉体労働で大体+500~800キロカロリー程度、通勤で+α(殆ど歩かないマイカー通勤か、駅まで歩くのかなど通勤方法による)。
もちろん、営業で1日中歩きまわっている場合や、激しい運動を伴う肉体労働の場合、大きく異なってきます。
そういった生命維持以外の活動量も含めてエネルギー所要量といいますが、典型的な運動不足のパターンでいうと大体2,000~2,700キロカロリーの範囲内に収まるでしょう。
エネルギー所要量の計算 http://keisan.casio.jp/exec/system/1183427246
生命維持や日々の生活、労働などの活動量を含めたエネルギー所要量がわかったら、次に朝ごはん、昼ご飯、晩御飯、そして飲み物、おやつなどの間食や夜食、飲み会など飲食に伴う摂取カロリーを把握し、消費量と摂取カロリーのバランスを調整する必要があります。
やはり、日々どんなものを食べているのかによって、摂取カロリーは大きく異なってきます。
意識するのとしないのでは全く違ってくるので、その日の気分や食欲のみで暴飲暴食せずに、きちんと食品ごとのカロリーを把握しておくことが第一歩となります。
食品ごとのおおよその摂取カロリーを一覧化しましたので参考にしてみてください。
食品名 | 容量 | 糖質(炭水化物)量 | カロリー |
ガリガリ君 ソーダ | 1本 | 18.5g | 70kcal |
カロリーコントロールアイス バニラ | 1個 | 11.0g | 80kcal |
オレンジジュース | 200ml | 24.0g | 102kcal |
バナナ | 1本 | 27.0g | 103kcal |
ポカリスエット | 500ml | 31.0g | 125kcal |
牛乳 | 200ml | 9.9g | 137kcal |
りんご | 1個 | 38.0g | 138kcal |
みかん(缶詰) | 20粒 | 40.0g | 168kcal |
巨峰 | 1房 | 48.0g | 178kcal |
煎餅 | 3枚 | 36.0g | 189kcal |
かりんとう | 4本 | 24.3g | 210kcal |
コカ・コーラ | 500ml | 56.5g | 225kcal |
シュークリーム | 1個 | 19.8g | 226kcal |
プリン | 1個 | 19.4g | 247kcal |
ジャイアントコーン チョコナッツ | 1個 | 27.4g | 256kcal |
ハーゲンダッツ ミニカップ バニラ | 1個 | 21.7g | 267kcal |
どらやき | 1個 | 58.8g | 270kcal |
大福 | 1個 | 68.5g | 287kcal |
じゃがりこ チーズ | 1個 | 34.9g | 290kcal |
マックシェイク バニラ | Mサイズ | 68.5g | 321kcal |
あんパン | 1個 | 64.1g | 324kcal |
ショートケーキ | 1個 | 47.1g | 344kcal |
ポッキー | 1箱 | 46.2g | 358kcal |
カレーパン | 1個 | 37.5g | 363kcal |
フルーツパフェ | 1人前 | 51.7g | 408kcal |
かっぱえびせん | 1袋 | 60.9g | 437kcal |
マックフライポテト | Mサイズ | 53.7g | 454kcal |
ポテトチップス うすしお味 | 1袋 | 46.5g | 477kcal |
メロンパン | 1個 | 78.4g | 494kcal |
チョコレートケーキ | 1個 | 54.0g | 498kcal |
肉類など動物性の脂質やお菓子などの糖分はカロリー量が多く、食べ過ぎは禁物です。
さらにご飯や麺類、パンなどの炭水化物の売、消化しやすいため腹持ちが悪く、空腹感を満たすために別のものを食べてしまうなど、結果的に食べ過ぎにつながってしまう可能性があります。
お酒が好きな人も多く、また飲み会など飲む機会も多くあるかと思います。
アルコールの場合、エンプティカロリーとも呼ばれ、摂取してもすぐに熱エネルギーになって脂肪として溜まらないので肥満にはならないという認識も広がっていますが、実はアルコール自体が中性脂肪の元となるのです。
皆さんもご存知の通りお酒を飲むと肝臓がアルコールを分解してくれるのですが、実は脂肪よりもアルコールの分解を優先するため、脂肪の分解がされにくくなってしまうのです。
具体的にはアルコールが分解されるとアセトアルデヒドという物質になりますが、さらに酵素によって分解され酢酸、体内ではアセチルCoA(アセチルコエンザイムエー)として作用されます。
本来は体内にいるミトコンドリアのクエン酸回路(TCA回路、クレブス回路、トリカルボン酸回路とも)と呼ばれる、アセチルCoAが代謝されATPという人間の活動エネルギーを生産する仕組みになっています。
摂取過剰になるとミトコンドリアがアセチルCoAを使いきれず、マロニルCoAという物質として排出され、これがミトコンドリアの役割のひとつである脂肪酸分解を阻害する働きがあるのです。
上記に加えて、アルコール分解の過程で脂肪酸が合成され、その結果、中性脂肪も作られてしまいます。
さらにお酒は食欲を増進させるため、おつまみなどに手を出してしまい、余計に脂肪分をため込みやすくなります。
飲酒による中性脂肪は、このような悪循環が引き起こされることによって増大するのです。
食品の中でも中性脂肪を下げるのに効果的なのが魚です。
魚には必須脂肪酸を含むオメガ3脂肪酸と呼ばれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれていますが、特にEPAは血液中の中性脂肪を含む脂質を減らす働きが期待できます。
脂質を含む各栄養素は胃・十二指腸を通り小腸に至るまでにほとんど消化、吸収されます。
吸収された栄養素は血管とリンパ管から全身に運ばれます。脂質は消化官で分解され、脂肪酸とグリセロール、コレステロールになりますが、体内に運ばれやすくするために、アポリポ蛋白と結合し、本来混ざりにくい水分を多く含む血液や体液に溶け込むカイロミクロンというリポ蛋白になります。
カイロミクロンは分子としては大きいため、毛細血管を通ることが難しいので、リンパ管を通って運ばれます。
このとき、EPAは腸管からリンパ液中への中性脂肪分泌を抑制することができ、カイロミクロンとして血中に溶け込む量を減らします。
さらに、肝臓での酵素阻害によって中性脂肪の合成を抑え 結果としてカイロミクロンが全身に供給されるために作り替えられるVLDL、LDLコレステロールを減らします。
また、筋肉や脂肪組織の毛細血管壁などに存在し、カイロミクロンやVLDLのトリグリセリド(中性脂肪)を遊離脂肪酸とグリセロールに分解する酵素リポ蛋白リパーゼ(LPL)の活性を助け、細胞内に吸収させる仕組みを促進することで、血中の中性脂肪を減らすことができます。
このように体内の脂質を減らす働きによって血液サラサラ効果が期待できるのです。
DHAはEPAと同様、中性脂肪を低下させる働きと、血液中の赤血球などの成分をやわらかくする働き、コレステロールの上昇を抑える働きがあるため、EPAと組み合わせて血流改善、高脂血症を防ぎ、動脈硬化の防止に役立ちます。
DHAは脳の神経細胞の膜に存在していて、DHAが多いとその膜が柔らかくなり、神経伝達物質がたくさん作られるようになって、脳内の情報伝達が盛んになることと、樹状突起と呼ばれる脳神経細胞の成長を助ける働き、また脳細胞の働きを高めるのに欠かせない栄養素を増やす働きがあるといわれています。
脳の神経細胞は老化によって失われていきますが、血液脳関門を通過できるDHAを毎日十分に得ていれば、脳のDHA量が回復し、脳の老化の抑制に効果的であり、アルツハイマー型認知症の改善に役立つとして研究が進んでいます。
さらにDHAにはプロスタグランジン、ロイコトリエン、PAF(パフ)というサイトカインの生産抑制効果があるといわれています。サイトカインはアレルギー反応で生産される物質で、免疫が過剰に反応することで引き起こされる花粉症やアトピー性皮膚炎などの症状を緩和する効果が期待されます。
EPAは植物プランクトンを食べる水中の生物しか作り出せません。
そのため、青魚であるマグロやサンマ、ブリ、アジ、イワシ、カツオなどに多く含まれています。
加熱に弱く、また鮮度が落ちると栄養も減っていくことがわかっています。
さらに、ある研究では夕食よりも朝食時に摂取すると最も効果が得られるとしています。
朝食に新鮮なお魚の刺身が一番おすすめです。
敵を知り己を知れば百戦危うからず、ということわざにもある通り、解決していくために敵をよく知ることは重要です。ここでいう敵はもちろん中性脂肪ですね。
LDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールと並んで、脂質異常症による動脈硬化につながってしまう要因のひとつが中性脂肪を表すTG値(トリグリセリド)の増加です。
中性脂肪とは体内の血液中にある脂肪のひとつのことで、脂肪酸(炭素C、水素H、酸素Oの3種類の原子で構成され、なかでもリノール酸やα-リノレン酸などは生命維持に欠かせませんが、体内で合成できず食事で摂取する必要があるため「必須脂肪酸」という)とグリセリン(人間を含む多くの動植物の体内あるアルコール類のひとつ。別名グリセロールという)が結合している単純脂質です。
食物として摂取する脂肪の殆どが中性脂肪で、エネルギー源として使われますが、余分に摂りすぎたものが肝臓や脂肪組織に蓄えらえるようになっています。
本来は、食べ物の入手が不安定であった時代に飢餓に備えて体得された、生物が生き延びるための働きです。
肉類や甘いもの、お酒、つまり脂肪・炭水化物といった脂質や糖質、アルコールの取りすぎによって増加し、肝臓病や糖尿病でも高い数字で表れます。
肝臓でも合成されていて、炭水化物を多量に摂取したり、お酒を飲むことによって合成が促進されてしまいます。
中性脂肪の基準値は50~149mg/dlとなっていて、健康診断などの結果がこの範囲内でなければ、改善の余地があるということになります。
中性脂肪が高いという場合、高コレステロール血症と合併することで虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や脳卒中などの動脈硬化のリスクが高くなります。
また、飲み会後のラーメンなど脂っこいものを食べ過ぎたりお酒を飲みすぎたりした数時間後に、激しい腹痛を伴う急性膵炎発症の要因となります。
中性脂肪が多すぎると、膵臓で膵液が大量に分泌され、膵液が通る管が詰まってしまい、膵臓内に膵液がたまることで、膵液に含まれる消化酵素が自己消化して炎症につながるためです。
飲食中に血液検査をすることはないとは思いますが、食事に伴う血清TG値が1,000mg/dl以上になると危険なラインとなります。このTG値は食後4~6時間で最大値になるため、健康診断を受けるときに朝食を摂らないで検査するのはそういった理由もあります。
血液中の脂質(中性脂肪やコレステロール)とカルシウムや繊維製結合組織を含んだ細胞(多くはマクロファージ)や細胞の死骸がくっつくと、ぶよぶよのコブ状の粥腫(じゅくしゅ)、アテローム、プラークともいう脂肪の塊になり、増えすぎて血管内に溜まることで血管の壁が厚くなって弾力がなくなり硬化、つまり硬くなってしまいます。血管の老化ともいい、血管が狭くなってしまうことが大きな問題です。
血管が狭くなることで、循環が悪くなるため、体内に酸素を十分に供給するために心臓が圧力を高めることで高血圧につながります。
硬くなった血管は傷つきやすくなっているため、圧力の高い血流によって血管内皮細胞が傷ついたり、プラークが破れたりし、その傷を修復しようとフィブリン(血液の凝固に関わるタンパク質)や血小板が集まり血栓ができ、さらに動脈硬化を促進してしまうのです。
血栓はいわゆるかさぶたです。血流によって血管の壁から剥がれ、血液中に漂うこともあります。これがドロドロ血液の正体です。この血栓が脳血管で詰まることで脳梗塞が起きます。
また、血栓が剥がれず、プラークや別の血栓が溜まることで詰まるとやはり心筋梗塞や脳梗塞になります。
さらに血管が狭くなり詰まりやすい状態だと狭窄率が高くなり、脳や心臓へ送る血流の勢いが足りず、狭心症や結果として梗塞になることもあります。
現代の食生活では高くなりがちな中性脂肪ですが、逆に少ないことで疑われる病気があります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、低中性脂肪血症、肝臓病、アジソン病がそれにあたります。食事制限をし過ぎて栄養失調になるケースもあります。