無農薬野菜・有機野菜といったスーパーでは手に入れにくい野菜を買いたいという場合、農家はもちろん、自然食品店や生協、らでぃっしゅぼーやといった業者などを通じて求めているかと思います。
そもそも、なぜ無農薬野菜にこだわるのでしょうか?
理由としては、スーパーなどで売っている野菜の安全性への不信感(産地偽装・農薬残留・放射性物質・遺伝子操作)、新鮮な野菜を食べたい、アトピーや病気の治療のため、子供が野菜を食べないから、などさまざまな理由があげられます。
これらに共通することは健康になりたいという目的があるからです。安全性が担保されている野菜、できるだけ採れたてで新鮮な野菜、アトピーに効果があると思われる、子供の健康のためへの無農薬野菜といったニーズで、その目的のためにどんな野菜を買えばいいのかと、たどり着いたのではないでしょうか。
実は自然農法とうたって無農薬野菜を提供している農家でも、自分で理解したうえでの伝え方ができてない場合があります。たとえば「自然栽培で育てた野菜をお届けします」ですとか「美味しいお米を自然農法で育てています」といったフレーズをよく見かけられるかもしれません。
いかに野菜の育て方に工夫を凝らしているのか、どんな栽培方法をとっているのかを伝えるために表現しようとした結果、このような文言になっているかと思います。安心、安全のために無農薬で、肥料も使わないことで野菜本来の味や栄養を引き出すような育て方をしているということを端的に伝えるために、このような言い回しになっているのですね。
この場合、美味しくて安全な野菜を食べてほしいから、そのために無農薬、無肥料で栽培するという自然栽培という栽培方法をとっている意味なので、間違いはありません。
本来的に、美味しくて安全な野菜を食べたいという皆様のニーズのために、できる限りそれを追求するということが農家のあるべき姿になるかと思います。
残留農薬が気になっている方のために、農薬は一切使わない。人工的な手を加えていないか気になる方のために肥料も使わない。これらはある意味究極的で、無農薬・無肥料・自然栽培(自然農法)をうたうことのできる方法となります。
でずが、あるべき姿にあるように、美味しくて安全な野菜を提供する方法は様々な工夫が可能であり、例えば栄養価の高い健康的な野菜に育てるために人体に害のない少量の農薬を散布したり、有機系の肥料を使うことは効果的です。
作物はあらゆる病害虫などの危険に常に晒されていますので、一定の対策を講じることは品質の良い野菜を作るために欠かせないことなのです。つまり、一辺倒に自然栽培に走る必要はないのです。
ですから、自然農法でなければいけない、ということもありませんし、農家も間違った認識で自然農法を強くアピールする必要もないのです。農家だからこそ、専門的な知識と技術を駆使し、様々な環境や状況をうまく利用し、試行錯誤し、あらゆる方法を模索して、安心で美味しく、栄養たっぷりな野菜作りに励めば良いのです。
このように、何らかの農法・栽培方法をとっているから安心・安全とは限りません。様々な品目の野菜が年中わたって栽培・収穫できるようになったのは江戸末期から明治以降となっており、歴史はそう長くありません。いろんな角度から検証できるようになった現代だからこそ、いろんな可能性を追求し開発していくべきなのです。
皆様が間違いのない農家を見分けるためには、こうした様々な取り組みに一生懸命取り組んでいることや、科学的なデータなどをもとに客観性のある見方をしなければいけません。自然農法だから大丈夫だろう、栄養も高いのだろうと決めつけず、品質の良い野菜を探してみてはいかがでしょうか。